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サンセットの反対側に見た月
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ベルベルの宴
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朝日も美しい
思った以上に乗り心地の悪い
ラクダにまたがり数時間。

辿り着いた砂漠のキャンプで
各国から参加したツアー客が火を囲む。
民族楽器に合わせ、独特のリズムで
歌い踊るベルベル風の宴。

仲良くなったカップルから飲ましてもらった
ウイスキーが効きすぎて
輪を離れ、一人砂山に登り仰向けになる。
太陽のように明るい満月と
その圧倒的な月明かりに邪魔され
存在感の薄い星を眺めながら
これまでの旅を振り返る。

出会った人。
嫌だったこと。
楽しかったこと。
感謝したこと。
美味かったもの。
まずかったもの…。

その忘れ難いひとつひとつの記憶を
神経質に思い出そうとしていると
二つ目の町、
タンジールの回想で早くも眠りこけ、
腕を這うフン転がしの様な
群青色の見たことも無い虫に起こされた西山です。
腕の裏には小さなぶつぶつが。
気持ちわるいけどまあいいか。

残念ながらここは本物の砂漠ではない。
いわゆる体験版サハラなのだ。
砂漠の入口。所詮一泊の弾丸ツアーでは
これ以上先へは
時間的にも、体力的にも進めない。

二泊三日で行くと言っていた
今朝出会ったあの旅人は
明日、さらに砂漠の奥に進み、
本当のサハラを体験するのだろう。

いつかまた来よう。
インドの砂漠も圧巻だと
シャウエンで会った旅人に聞いた。

だけど今日ラクダの上から見た
絵に描いた様なサンセットの
反対側に見つけた大きな月の美しさは、
極度に忘れっぽい自分でも
忘れることはないと思う。

物覚えのいい人が羨ましい。

多分自分は人より忘れっぽい。
自分で体験して感動したことだけが
記憶に残る。
人の話やなんとなく過ぎる日々は
申し訳ないほど
記憶の彼方に隠される。


フィルムで写真を撮る楽しみを
トリコーヒーの店主に気づかされてから
弱い記憶力を補う方法を手に入れた気になった。

一生懸命に撮った写真を見ると
覚えているはずもないことまで
細かく思い出せる。

今回の旅では
人を撮りたいと思った。
助けてくれた人や助けてあげた人。
世話になった人。一緒に過ごした人。
タバコをくれた人、あげた人。
できるだけ、話した人みんなにカメラを向けた。

だけどもモロッコの原住民、
ベルベルの人達は
写真を撮られるのを極端に嫌う。
魂が抜かれるとか、
旦那への気遣いだとか
日本人の自分からは
理解できない何かがあって、
写真を撮るとその瞬間、
自分は加害者になる。

とても嫌がられる。
大きな声で怒鳴られる。
金を出せと言ってくる。

シャッター音が大きいのも問題だ。

だから、ローカルのモロッコ人を撮る時は
交渉するようにした。
だけど、ほとんど断られる。
タバコをあげたり、飴をあげる。
お金を払う。物を買う。
買収するようで気持ちが悪くて、
気分が重かったけど
少しだけ撮ることができた。

そんな中で撮った写真だから
ちゃんと写っているかわからないけど、
暗くても、ピントがなくても
写真を見れば写っている人を、
情景を思い出せると思う。

今はカサブランカ駅近くのホテル。
早朝の電車で空港まで行き
荷物を無くしたマラガまでフライト。

荷物を無くして心細かった西山に
言葉の全く伝わらない状況の中
絵を描いて色々心配してくれた
ホテルのおばちゃんの写真を
この旅の最後の写真にしようと思う。



稚拙な西山の文章と写真を
読んでいただけた方に
心から感謝します。

帰ったら一生懸命、仕事します。